「レトルトカレー」の版間の差分

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1968年2月、大塚食品が世界初の市販レトルト食品[1]『ボンカレー』を阪神地区で限定発売した。関連会社の大塚製薬が持っていた点滴液の加圧加熱の殺菌技術を応用することで、他社に先駆けて開発に成功したといわれている。しかし当初は半透明パウチを使っていたため、賞味期限が数ヶ月と短かった。その後、パウチ素材にアルミ箔を使うことで賞味期限を大幅に延ばした新パウチを開発し、1969年5月から全国発売を始めた。はじめはなかなか消費者に受け入れられなかったが、しだいに浸透し、1973年に放送されたテレビコマーシャルの「3分間待つのだぞ」という笑福亭仁鶴によるセリフは流行語にもなった。
 
1968年2月、大塚食品が世界初の市販レトルト食品[1]『ボンカレー』を阪神地区で限定発売した。関連会社の大塚製薬が持っていた点滴液の加圧加熱の殺菌技術を応用することで、他社に先駆けて開発に成功したといわれている。しかし当初は半透明パウチを使っていたため、賞味期限が数ヶ月と短かった。その後、パウチ素材にアルミ箔を使うことで賞味期限を大幅に延ばした新パウチを開発し、1969年5月から全国発売を始めた。はじめはなかなか消費者に受け入れられなかったが、しだいに浸透し、1973年に放送されたテレビコマーシャルの「3分間待つのだぞ」という笑福亭仁鶴によるセリフは流行語にもなった。
 
他社もつぎつぎにレトルトカレー市場に参入したが、そのなかでも注目すべき成功をおさめた製品は1971年発売のハウス食品の『ククレカレー』である。同製品のテレビコマーシャルで使われたキャッチコピー「おせちもいいけどカレーもね!」(1976年から数年間、年末年始に放送された。CMキャラクターはキャンディーズ→近藤真彦)は広く浸透し、レトルトカレー市場の拡大に貢献した。
 
他社もつぎつぎにレトルトカレー市場に参入したが、そのなかでも注目すべき成功をおさめた製品は1971年発売のハウス食品の『ククレカレー』である。同製品のテレビコマーシャルで使われたキャッチコピー「おせちもいいけどカレーもね!」(1976年から数年間、年末年始に放送された。CMキャラクターはキャンディーズ→近藤真彦)は広く浸透し、レトルトカレー市場の拡大に貢献した。
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===ターゲット商品・タイアップ展開===
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1985年にエスビー食品から、幼児向けの甘口カレーとして人気を得ていた即席カレールーの『カレーの王子さま』のレトルト版が発売された。さらに1986年には江崎グリコから「激辛好きの大人」をターゲットにした『LEE』が発売され、それぞれ成功をおさめた。これらは特定の年代・嗜好のユーザーにターゲットを絞って成功した商品の例である。
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幼児向けカレーの分野では、「それいけ!アンパンマン」や「ポケットモンスター」、「妖怪ウォッチ」などの人気アニメとタイアップした商品も次々に販売されている。また、ドラマやゲームとタイアップした商品も、期間限定ではあるが発売されており、作品のファンからは好評を得ている。
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話題となるカレーのレトルト版は、すぐに発売されることが多い。特に「ご当地カレー」など、さまざまな種類のレトルトカレーが発売されている。朝食や弁当のごはんに掛ける、ミニサイズで温める必要のない商品も販売されている。
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===電子レンジ対応のレトルトカレー===
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2003年に大塚食品から、世界初の「電子レンジで温められるレトルトカレー」が発売された。当初は、新包装における安全面の理由や、ラップをして電子レンジで加熱すればいいという理由で、企画段階では周囲からは反対されたという。
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中華丼の具などを入れる冷凍食品用のパウチを元にして、AOP(Auto Open Pouch)という、レンジ加熱して袋の中の圧力が高まると、フラップが自動的に開いて水蒸気を出して、内部の熱が一定以上にならない構造になっている。
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箱の上部を開けてパウチ自体は箱に収めたまま加熱するようなっており、蒸気口からの蒸気がフラップにあたり電子レンジを汚すことなく、安全に取り扱うことができるようになっている。また、湯煎と電子レンジ加熱とで、加熱に要するコストと環境負荷は、どちらも電子レンジ加熱のほうが低く環境に優しいという[2]。

2021年7月6日 (火) 15:55時点における版

レトルトカレーは===レトルト食品===のひとつ。カレーを===レトルトパウチ===に封入したものである。

調理方法

レトルトカレーは、3〜7分ほど湯煎するか、数分ほど電子レンジで温めて調理するだけで、一食分のカレーライスを作って食べることができる、便利な商品である。そのため、現在日本では子供から老人まで、幅広い層に日常的に利用されるに至っている。

レトルトカレーの歴史

レトルトパウチの誕生

レトルトパウチ食品は、もともとアメリカ陸軍の補給部隊研究開発局により開発された。缶詰の重さや、空缶処理の問題を改善するのが狙いで、缶詰にかわる軍用携帯食として開発したのが始めである。その後、NASAのアポロ計画において「宇宙食」として採用されたことから、多くの食品メーカーに注目される。 だが、米国では当時、すでに一般家庭に冷凍冷蔵庫が普及しており、各種の冷凍食品が発売されていたことから、当時はまったく普及しなかった。これには、パッケージの貼り合わせに接着剤を用いていたために、食品医薬品局からの認可が下りなかったのも原因の一つである。

レトルトカレーの登場

1968年2月、大塚食品が世界初の市販レトルト食品[1]『ボンカレー』を阪神地区で限定発売した。関連会社の大塚製薬が持っていた点滴液の加圧加熱の殺菌技術を応用することで、他社に先駆けて開発に成功したといわれている。しかし当初は半透明パウチを使っていたため、賞味期限が数ヶ月と短かった。その後、パウチ素材にアルミ箔を使うことで賞味期限を大幅に延ばした新パウチを開発し、1969年5月から全国発売を始めた。はじめはなかなか消費者に受け入れられなかったが、しだいに浸透し、1973年に放送されたテレビコマーシャルの「3分間待つのだぞ」という笑福亭仁鶴によるセリフは流行語にもなった。 他社もつぎつぎにレトルトカレー市場に参入したが、そのなかでも注目すべき成功をおさめた製品は1971年発売のハウス食品の『ククレカレー』である。同製品のテレビコマーシャルで使われたキャッチコピー「おせちもいいけどカレーもね!」(1976年から数年間、年末年始に放送された。CMキャラクターはキャンディーズ→近藤真彦)は広く浸透し、レトルトカレー市場の拡大に貢献した。

ターゲット商品・タイアップ展開

1985年にエスビー食品から、幼児向けの甘口カレーとして人気を得ていた即席カレールーの『カレーの王子さま』のレトルト版が発売された。さらに1986年には江崎グリコから「激辛好きの大人」をターゲットにした『LEE』が発売され、それぞれ成功をおさめた。これらは特定の年代・嗜好のユーザーにターゲットを絞って成功した商品の例である。 幼児向けカレーの分野では、「それいけ!アンパンマン」や「ポケットモンスター」、「妖怪ウォッチ」などの人気アニメとタイアップした商品も次々に販売されている。また、ドラマやゲームとタイアップした商品も、期間限定ではあるが発売されており、作品のファンからは好評を得ている。 話題となるカレーのレトルト版は、すぐに発売されることが多い。特に「ご当地カレー」など、さまざまな種類のレトルトカレーが発売されている。朝食や弁当のごはんに掛ける、ミニサイズで温める必要のない商品も販売されている。

電子レンジ対応のレトルトカレー

2003年に大塚食品から、世界初の「電子レンジで温められるレトルトカレー」が発売された。当初は、新包装における安全面の理由や、ラップをして電子レンジで加熱すればいいという理由で、企画段階では周囲からは反対されたという。 中華丼の具などを入れる冷凍食品用のパウチを元にして、AOP(Auto Open Pouch)という、レンジ加熱して袋の中の圧力が高まると、フラップが自動的に開いて水蒸気を出して、内部の熱が一定以上にならない構造になっている。 箱の上部を開けてパウチ自体は箱に収めたまま加熱するようなっており、蒸気口からの蒸気がフラップにあたり電子レンジを汚すことなく、安全に取り扱うことができるようになっている。また、湯煎と電子レンジ加熱とで、加熱に要するコストと環境負荷は、どちらも電子レンジ加熱のほうが低く環境に優しいという[2]。