アデリーペンギン
アデリーペンギン(Pygoscelis adeliae)は、鳥綱ペンギン目ペンギン科アデリーペンギン属に分類される鳥類。中型のペンギン。南極大陸で繁殖するペンギンはこの種とコウテイペンギンのみである。 オキアミ類、魚類などを食べる。食性は地域・年・性別などによって変動があることもある。一例としてメスはオキアミ類を主に食べ、オスはメスと比較すると魚類の比率が大きいとする複数の報告例もある。成鳥や巣立ち後の雛の捕食者としてヒョウアザラシ、卵や雛の捕食者としてオオトウゾクカモメやミズナギドリ類が挙げられる。
非繁殖期は南極大陸の周辺海域で群れを作って生活し、オキアミなどの甲殻類や魚類を捕食する。海での天敵はシャチやヒョウアザラシなどである。近年の地球温暖化の影響を受け、生息数が減少傾向にある。
南極大陸の海岸部および周辺の島々に、大きなコロニーを形成する。なお南極大陸内におもな繁殖地をもつペンギンは、アデリーペンギンとコウテイペンギンのみである[要出典]。
繁殖地は海岸にほど近い岩場で、夏になると雪が解けて岩石が露出する場所に限られる。スコット探検隊が越冬したロス島には約50万羽からなる巨大なコロニーが存在する他、日本の昭和基地付近にも営巣地がある。
南極の初夏にあたる10月になるとアデリーペンギンが繁殖地に集まり、小石を積み重ねて火山のような形の巣を作る。南極では夏といえども冷たい雨や雪が降り、卵が冷たい雪解け水に浸ると死んでしまう。このため親鳥たちはできるだけ高い巣を作る必要がある。しかし岩が露出する場所は少なく、巣材の小石は貴重品である。よって巣作りの頃には繁殖地のいたる所で小石の奪い合いが発生する。
メスが産卵するとまずはオスが抱卵し、メスは海へ採餌に向かう。ヒナが孵化するまでは約35日間かかるが、途中で一度だけオスとメスが交代する。
ヒナは茶色い産毛に包まれ、3週間から4週間ほどは巣にとどまって両親から給餌を受ける。なお、卵やヒナの天敵は寒さの他にもオオトウゾクカモメやサヤハシチドリ、オオフルマカモメなどがいる。これらの鳥も繁殖期を迎えるため、繁殖地では卵やヒナをめぐる必死の攻防が繰り広げられることとなる。
ヒナが成長すると、ヒナ同士が集まる「クレイシュ」が形成され、親鳥はオスメスとも海へ採餌に向かうようになる。クレイシュにやってきた親鳥は、鳴き声で自分のヒナを判別し給餌を行う。クレイシュは3週間から4週間ほど続く。ヒナが換羽し、成鳥と共に海に入るのは夏の終わりの2月頃である。