サイゼリヤ
サイゼリア[編集]
株式会社サイゼリヤ(英語: Saizeriya Co., Ltd.)は、埼玉県吉川市に本社を置き、イタリアンファミリーレストラン「サイゼリヤ」を運営する日本の企業。「サイゼリア」と間違われることもあるが、正しくは「サイゼリヤ」である。 1970年代の日本のファミリーレストラン草創期にチェーン展開を開始した企業である。
概要[編集]
【特徴】
徹底したコストダウンを通じて低価格メニューを充実させ、近年苦戦が続く外食産業の中でも注目を集める。 主要な客層は若年層で、「サイゼ」の愛称で親しまれている。 全店でのドリンクバー導入に加え、グラタンやピザ・ドリアなどのテイクアウト可能な料理を「お持ち帰りメニュー」として提供している。アルコール類では十数種のワインを備えて他のチェーン店との差別化を図っている。
【運営会社】
株式会社サイゼリヤは2018年8月現在、イタリア料理「サイゼリヤ」を国内1,085店舗のほか、海外では384店舗を運営している。2003年(平成15年)6月に中国の上海市にて100%子会社の上海薩莉亜餐飲有限公司を設立したのを皮切りに、上海、南京、蘇州、広州、北京といった中国国内のほか、香港、台湾、シンガポールに店舗を展開している。
中国の広州市に全額出資の現地法人「広州サイゼリヤ食品」を設立した。2013年1月稼働の食品工場を運営し、広州市内の38店舗にピザやホワイトソースを供給する。資本金は300万ドル(約2億4,600万円)。サイゼリヤはこれまで中国本土の店舗運営を担う現地法人3社を北京、上海、広州で設立している。
「日本を真に豊かな国にするお手伝いをする」を企業理念とし「スパゲッティをラーメンと同じ価格で提供」することを念頭に、ポピュラープライスと呼ばれる価格相応かつ期待外れに終わらない価格帯とメニュー構成で「安くて美味しいもの」を提供することをポリシーとしている。このポリシーは進出した中国でも受け継がれ「中国の人たちにイタリアンを安くておいしく食べてもらいたい」という設立主旨を徹底して訴え、合弁事業ではなく独立資本(100%出資)として認可された、国外資本では数少ない受け入れ例となっている。中国ではスパゲッティが9元(約144円)で提供されている。
生産・流通システムの構築を目指し、福島県白河市に100万坪のサイゼリヤ農場を持つ。またカミッサリー(食品加工・流通工場)を福島県・埼玉県・神奈川県(店舗も併設)・兵庫県に持つ。このほか日本国外の拠点として、オーストラリアのメルボルン郊外に40万坪の工場(サイゼリヤ オーストラリア Saizeriya Australia Pty. Ltd.)を設立し、2002年より生産を行っている。
歴史[編集]
現会長である創業者の正垣泰彦が、東京理科大学在学中にアルバイトをしていた渋谷食堂のコックに「おまえ、食べ物屋の素質がある。独立してやってみたらいい」と諭され創業を決意、父親に「レストランをやらせたい人がいるんだけど、いい所はない?」と相談し、自分が創業するのを伏せて、千葉県市川市八幡にあるフルーツパーラーを購入してもらい、洋食店に変えて「サイゼリヤ」を創業する。
しかし、その9か月後にやくざ同士のけんかがもとで火事で店が全焼し休業となる。休業期間中に正垣は、これからはイタリア料理の人気が出ると判断し、洋食店からイタリア料理専門店に転換して店を再開したが、客足はぱったりと途絶えてしまった。正垣は、その原因は価格にあると考え、メニューを全て7割引で販売するという行動に打って出る。この判断が見事的中し「サイゼリヤ」は行列が出来るほどの大繁盛となった。「この方針ならば売れる」と確信した正垣は、サイゼリヤを低価格路線に乗せ、現在の地位を確立していくこととなる。
1973年(昭和48年)5月、正垣は株式会社マリアーヌ商会を市川市八幡に設立。それまで営業していた「レストランサイゼリヤ」のチェーン展開を開始し、千葉県を中心に出店を続けた。1987年(昭和62年)、商号を株式会社マリアーノに、1992年(平成4年)には株式会社サイゼリヤに変更した。
2013年11月には国内1000店舗出店を達成(ファミリーレストラン業界ではガスト以来となる)。出店形式はビルイン型・ロードサイド・ピロティ型のほか、商業ビル・駅ビルテナント出店など、好立地なら物件を問わず、特に首都圏への出店を積極的に続けている。また、他社の競合店などが撤退した跡地に居抜き出店する際は看板などもそのまま利用するため、店舗の設計やロゴマークが描かれたポールサイン(看板)の形状は多彩である。
2005年(平成17年)8月24日からファーストフード店の「イート・ラン」を運営していたが、2010年に全ての店舗が閉店した。このほか、ファストカジュアル店の「スパQ&TacoQ」「サイゼリヤEXPRESS」の運営も行っていたが、こちらも2020年現在では現存しない。一方で2016年から新たにファーストフード店の「Spaghetti Mariano(スパゲッティ マリアーノ)」の運営を開始している。
2006年(平成18年)10月に発表されたサイゼリヤの既存店売上高が8年ぶりにプラスを計上した。2006年8月期の既存店売上高は前期と比べて3%増(客数が2.1%増、客単価も0.8%増)となった。既存店の業績低迷について従来は新規出店による売上げの増加でカバーしてきたが、メニューの品質向上やサービス向上などの成果が各店の固定客と売上増加に繋がったとされる。
サイゼリア1号店教育記念館[編集]
市川市八幡のサイゼリヤ1号店は2000年2月に閉店したが、千葉県中小企業家同友会市川浦安支部の協力もあり、現在はサイゼリヤ1号店教育記念館として保存されている。事前に同友会に連絡すれば記念館の見学ができる(土日に関しては連絡なしでも見学できる場合あり。営利目的での使用は不可)。
沿革[編集]
・1968年(昭和43年)4月 - 正垣泰彦が「サイゼリヤ」の店舗を譲り受け、個人営業を開始。
・1973年(昭和48年)5月 - 個人営業から法人化。株式会社マリアーヌ商会を設立。
・1977年(昭和52年)12月 - 多店舗化を開始。
・1981年(昭和56年)4月 - 初のショッピングセンター内店舗(ららぐるめ店、ららぽーと内)を出店。
・1983年(昭和58年)5月 - 千葉県市川市市川一丁目13番32号に本社を移転。
・1987年(昭和62年)3月 - 初の駅ビル内店舗(シャポー本八幡店)を出店。
・1987年(昭和62年)4月 - 商号を株式会社マリアーノに変更。
・1987年(昭和62年)10月 - オーダーエントリーシステムを導入。
・1989年(平成元年)9月 - 初の郊外型ロードサイド型店舗(柏水戸街道店)を出店。
・1991年(平成3年)10月 - 千葉県船橋市浜町二丁目1番1号(当時.ららぽーと船橋ショッピングセンター 現.ららぽーとTOKYO-BAY)に本社を移転。
・1992年(平成4年)6月 - 50号店を出店(新札幌駅ビル店)。
・1992年(平成4年)9月 - 商号を株式会社サイゼリヤに変更。
・1994年(平成6年)7月 - 100号店を出店(江の島店)。
・1997年(平成9年)10月 - 埼玉県吉川市旭2番地5に吉川工場を建設。本社を同地に移転。
・1998年(平成10年)4月 - 株式を店頭登録市場(現・ジャスダック)に店頭公開。
・1999年(平成11年)7月 - 東京証券取引所2部に上場。
・2000年(平成12年)8月 - 東京証券取引所1部に指定替え。
・2001年(平成13年)10月 - 500号店を出店(峡南店)。
・2003年(平成15年)12月 - 中国1号店を上海にオープン(同社における初の日本国外進出)。
・2005年(平成17年)8月 - 新業態のファストフード店(ハンバーガー)「イート・ラン」を出店(1号店・十条店)。
・2005年(平成17年)11月 - 新業態のファストカジュアル店「スパQ&TacoQ」を出店(1号店・ビバモール埼玉大井店)。
・2007年(平成19年)4月 - 新業態のファストカジュアル店(低価格スパゲッティ)「サイゼリヤEXPRESS」を出店(1号店・ぐりーんうぉーく多摩店)。
・2007年(平成19年)12月 - 中国・広州市に出店。
・2009年(平成21年)2月 - デリバティブ取引の損失により会社設立以来初の税引き後赤字に転落する見通しとなったため、社長の正垣が退任を発表。
・2010年(平成22年)3月 - 九州1号店のトリアス店(福岡県糟屋郡久山町)を出店、九州地区の店舗展開を開始。
・2012年(平成24年)6月 - 北海道2号店の札幌駅北口店をオープンし、道内の多店舗展開を開始。
・2012年(平成24年)6月 - 1000号店を出店(フォレオ大阪ドームシティ店)。
・2013年(平成25年)11月 - 国内1000店舗を達成(イトーヨーカドー鎌ヶ谷店)。
・2016年(平成28年)7月 - 新業態のファストフード店(パスタ)「Spaghetti Mariano(スパゲッティ マリアーノ)」を出店(1号店・日本橋茅場町店)。
・2019年(令和元年)6月 - 9月までに全店全席で禁煙化予定をしていたが、前倒しして6月に全席禁煙化[9][10]。
・2020年(令和2年)7月1日 - グランドメニューを改定、端数が出ない価格に変更するとともに、キャッシュレス決済を導入
店舗[編集]
ドリンクバーのコーヒー豆はドトールコーヒーから仕入れた豆を使用している。2012年に店舗で利用する粉チーズ(ペコリーノ)が変更された。2017年に新たな種類の粉チーズ(グランモラビア)が追加された。サイゼリヤ社が製造する「唐辛子フレーク」を用意している店舗もある。